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マイ・プライベート・アイダホ

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原題: My Own Private Idaho
監督・脚本: Gus van Sant
出演: River Phoenix, Keanu Reeves, James Russo, William Richert, Chiara Caselli 他

内容紹介: いま、人気上昇中のリバー・フェニックス(『スタンド・バイ・ミー』)とキアヌ・リーブス(『ハート・ブルー』)のフレッシュな顔合わせによる話題の青春ロードムービーの傑作。

セックスに明け暮れるストリート・キッズのマイクとスコット。ある日ふたりはマイクの母親を探す旅にでる。ポートランド、アイダホ、ローマ…。しかし旅の果てにふたりが見つけたものは、余りに衝撃的なことだった。監督は『ドラッグストア・カウボーイ』で絶賛された俊鋭ガス・ヴァン・サント。リバー・フェニックスは本作の熱演で'91年度ベネチア国際映画祭最優秀男優賞に輝いた。(日本ヘラルド)


感想: 邦題には何故か『天使が夢見たセックス』という副題が付いている。何故こんなサブタイトルを付けたのか、不思議でならない。

River Phoenix(1970年8月23日~1993年10月31日)は、生きていれば現在35歳ということになる。確か、James Deanの再来と言われたように記憶しているのだが。この映画を見ても、River Phoenixはとてもかっこいい。人生の悲哀やけだるさを、はなから持った役者に思えるからだ。

この映画の中でも、決して幸福な人生とはいえない役(マイク)を演じている。ナルコレプシー (narcolepsy) という突発性の睡眠障害を負っている彼の心の奥底には、母親と別れた傷が根深く残っている。過去の映像を思い出すたびに、彼はその症状に見舞われてしまう。夜は、男女構わず体を売って稼ぎ、そんな彼と親しいのは、同じ仲間だけ。その中に、Keanu Reeves演じるスコットがいた。しかし、スコットは彼らと同じような生活を送っていながら、実は市長の息子だった。

ある日、彼はスコットと共に母親を探す旅に出るが、遠くローマまで行くことになる。旅の途中、彼はスコットに「好きだ」と告白するのだが、スコットはローマで親しくなった女性と結婚してしまう。そして、ひとりアメリカに戻り、以前と変わらぬ生活をする彼。その一方で、スコットは父親である市長の死をきっかけに、遺産を引き継ぎ、ストリート・キッズの生活もやめ、普通の、しかし、マイクには程遠い生活を始めるのだった。

マイクとその仲間のボス的存在であったボブが、そんなスコットの変貌振りに衝撃を受け、死んでしまう。そして、スコットがしめやかに父親の葬儀を執り行っていると、スコットの耳に何やら騒々しい音が聞こえてきた。目をやると、そこにはボブを弔っているマイクたちの姿があった。彼らは彼らなりのやり方で、ボブの死を悼んでいたのだった。マイクたちを遠くからじっと見つめながらも、スコットはその場を立つことはなかった。

映画の始めと終りに、アイダホの一直線に伸びる道とそこに立つマイクが映る。彼は、その道を目に手を当てて狭い範囲で覗く。俺が知っている道。俺が知っているアイダホ。俺の生きた街。

彼の生きざまをじっくりと見て取るのが、この映画の目的なのかなと感じた。ひとにはいろんな人生があって、またいろんな傷を負っていて、仲間がいて、その仲間との別れもあって、死という別れもあって、でも、それで何かを変えようとか変えなきゃということでもなく、ひたすら自分の生きざまを通していく。『have a nice day』と、最後の最後に出てくるマイクの言葉。自由に気ままに、でも誇りを持って彼らなりの流儀で生きている。こういう人生もあるんだな。


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