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内容紹介: 生まれてこなければよかった…元女の子だった僕と、元男の子だった私は苦しみ続けました。いじめに遭い、グレ、自殺未遂。永久に独りぼっちだと諦めていたけど、生きていてよかった、と今では思えるんです。だから、あなたもSearch(サーチ・捜すこと)、どうか人生を諦めないで。願いは届きます…。
- 性同一性障害 - Wikipedia
感想: 写真向かって左が平安名 祐生さん、右が平安名 恵です。本の中にも白黒で、ふたりの幼い頃から今までの写真が掲載されています。どちらもタイプかも。
と、私の好みはいいとして、この本に出会ったのは、本当偶然でした。書店をあちこち見ていて、見つけたのです。本の背だと『性同一性障害』の文字は小さくなっています。手にして初めて、その類の本だと知りました。私の場合は、『Seach～きみがいた』というタイトルに惹かれて手に取った本だったのです。
2000年10月31日初版から、月日は流れ、皆さんもご存知のように、戸籍上の性の変更も可能となりました。カルーセル麻紀さんがすぐに男性から女性に変更したことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか？
オカマやニューハーフから始まって、おなべの存在を知り、果ては『性同一性障害』という病気だと教えられ、芥川賞作家の藤野千夜さんの受賞作を読み、忘れてしまいましたが、どこぞの市議選で、性同一性障害の方が当選し…平行して、日本でも性転換手術を認める云々とのニュースも流れ、果ては戸籍の話へと、この数年で随分様変わりしたように思います。
でも、それも当事者からしてみれば、遅過ぎた春なのかも知れません。そうだとしても、この日本が前に一歩進んでくれたことは喜ばしいことと思います。そして、その結果をもたらしたのは、間違いなく、当事者と支援者の心の叫びと弛まぬ努力と戦い、そして、彼らを理解してくれた関係者だったに違いありません。
この本は、以下の章から成っています。
序章 夫=恵、妻=祐生
第１章 ふたり記念日
第２章 僕にスカートをはかせるな
第３章 前世は女だったはず
第４章 夜はきっと明けるから
第２章と第３賞では、ふたりのそれぞれの生い立ちとこれまでの経緯が書かれています。自分もゲイですから、似たようなものですね。自分が他と違うということに気付き、悩み苦しみ、死を考えたり…これらは、自分の内側から来るよりも、外から来ることの方が大きな原因となっている場合が多いですね。
『偏見』次に『差別』…平安名 祐生さんが、最後にこう記しています。
どんなに個性的に生まれても、育っても、幸せはつかめる。「ありのままの自分」を認め、「あるがままの他人」を受け入れることによって、自分をとりまく状況はどんどん面白くなっていくと思うのだ。
ひととひととが付き合い始めるとき、あるいは付き合っていくとき、その根底には、相手を理解し受け入れるところがなくては、人間関係なんて成立するものではないと、私は思っています。曇った目でひとを見ても、そのひとの本質は見えません。
それに、私は、ひとがひとを愛するということは、自分がゲイだからと言われると嫌ですが、魂と魂(あるいは心と心と言い換えてもいい)が結ばれ求め合うことだと思っています。今はもう言わなくなったのでしょうか？『人間一皮向けばみな同じ』…肉体は心の宿舎でしかないと思っています。
そして、性同一性障害を『病気』と捉えることを、当事者の皆さんはどう思っているのでしょうか？私は、それも要らぬ枠に詰め込んでいるのではと思ったりするのですが。心が女性なら、肉体が男であっても、その人は女性だと認めるべきなのです。認めてあげるではなく、このひとはこういう人なんだと受け入れるということですね。身の回りがそうであったなら、どれだけ彼らの心の負担が減るかわかりません。そのひとの人間性を認めるとき、そこに性別がいちいち関係するのだろうか。彼らを必要以上に苦しめ遠回りさせてしまったのは、世間の常識という枷だったということは悲しいことです。
この本を読んで、こういう人たち、こういうカップル、こういう生き方ってあるんだなぁと、元気付けられたのを今でも覚えています。同時にひとっておもしろいなぁ、なんてことも。そして、それ以上に、ひとってうまいこと出会うもんだなぁと、妙に感心もしました。「人間生きていれば、きっといいことがある」…この言葉を、どこぞのおっちゃんが言うのとは別に新鮮に感じました。心の栄養剤ですね。
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