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内容紹介: あるのかないのかわからない日本のゲイブームの渦中で煩わしい思いをしていた映画『二十才の微熱』の監督である著者は、ニューヨークで4年に一度開かれるゲイのオリンピック『ゲイゲーム』とゲイパレードを取材するためにニューヨークへと飛んだ。
今回の旅は自分を見つけるための旅でもあり、著者の人生観をニューヨークで出会った様々の人や出来事を通して綴った、書き下ろしエッセイ。「生きようとする人の力の美しさの前には、何人もそれを侵せない」(扶桑社文庫)
- 橋口亮輔 - Wikipedia
感想: 橋口さんの滞在先は、レイモンドという恋人をエイズで亡くしたばかりのハジメさんのアパート。そこで、およそ一ヶ月を過ごす。メインはゲイ・ゲームやゲイ・パレードの取材だが、さまざまな出来事を通して、自分を見つめ直していく。
エッセイなので、個人的な色彩の強い作品となっている。さまざまな出来事を通して自分の姿を振り返っていく。そのときの思いや考えが淡々と語られているけれど、至るところに共感できる部分が散りばめられている。気が付けば、自分のことと照らし合わせながら読んでいた。
本の中では、滞在先がそうだったこともあり、エイズや差別・偏見の話も出てくる。滞在先は、レイモンドという恋人をエイズで亡くしたばかりのハジメさんのアパート。そのハジメさんの口から、闘病当時の出来事があれこれと語られる。そして、当時(著書は1994年発行)の日本にはまだなかったゲイ・パレードや、ゲイ・ゲームといった一大イベントの様子が出てくる。
しかし、この本を読んで一番感じたことは、『自分』という者だった。あるがままに自分を受け入れる。そして、それまで気付いてあげることも出来なかった自分、隅に追いやってしまっていた自分を知る。『僕は前からここにいた』…自分という存在こそが、この本で一番言いたかったことではないだろうか。
『僕は前からここにいた』とは、自分で自分に気付き受け入れることだけでなく、他人に対しても、僕は前からここにいたんだというひとつの声に思えてならない。自分に気付くことで、本当の意味での自分の人生を開始させた作者。そして、自分をあるがままに受け入れているから、誰に対しても「それが僕なのだ」と出せる。自分の中が未解決の人間は、いつまでも自分の求めるものを手にすることなんて出来ないのではないだろうか。ふと、そんなことを考えさせられた。
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