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4TEEN

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著者: 石田 衣良

内容紹介: 東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない……。

友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受け止めて成長してゆく14歳の少年たちを描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。(新潮文庫)

感想: いくつかの短(中)編が集まって、『4TEEN』としてまとまっている。ご存知の通り、直木賞受賞作だ。以来、石田氏は教育番組からコメンテーターまで幅広く活躍している。

物語全体としては「これが本当に中学生か?」とも思ってしまうところもあるけれど、この4人は物語の中では現実に存在している人物として描かれているが、実は、今さまざまな問題として採り上げられる社会とその中に生きる中学生の姿を象徴しているような気がする。

病気を抱えながらも逞しく生きているナオト。家庭内暴力の父を持つダイ。ごく普通のテツロー。インテリで皮肉っぽいなジュン。彼らの経済環境も下層から上層までと分かれている。そんな彼らを物語の中で時間とともに進めていく石田氏のTEENへ向ける目には、何とも肯定的で暖かい眼差しを感じる。

各編の内容は他に任せるとして、ここに採り上げたのは勿論ゲイの話が一編挿入されているからだ。そのタイトルは『ぼくたちがセックスについて話すこと』…読む前は、思春期にありがちな異常なまでの性への興味が綴られているのかと思い込んでいた。ところが、作中の言葉で言えばホモの話だった。これも日本のTEENたちが心密かに抱えている問題のひとつでもある。

仲良し4人組はいつも連れ立って学校から帰るのだが、ある日森本一哉という同級生が一緒に帰りたいと言い出すことから話は始まる。どこか女の子のような彼は、クラス一の美少女から愛の告白をされるのだが、それをあっさりと断ってしまう。そして、クラスの子に新宿を大学生の男と手を繋いで歩いているのを目撃され、彼に告白した美少女はある日の放課後、彼がホモなのかどうか真偽を確かめようとするのだ。これ以上は、短編なので言わないでおきたい。

読んでみて、共感できるところが多かった。実際にこのような場面になってもおかしくないような自然な話の運び方で、それだけに一哉の気持ちが身に詰まされるようだった。

褒め過ぎかどうかは別にして、今の中学生の心の中を覗いて見ることの出来る一冊ではないだろうか。自分の時代に照らし合わせても共通する部分は多々あるけれど、おとなになると、なぜかその共通部分まで忘れて、彼らを常識外れだとすぐに叩いてしまったりする。

『4TEEN』…『14歳』の彼ら『4人組』はまだまだ未発達で、けれども、時に深刻な問題にぶち当たってもそこから逃げずに頑張って乗り越えていく。涙し、笑い、泣き、悲しみ、怒り…さまざまな経験が彼らを成長させていくのだ。そして、常に誰かが自分と手を繋いでくれている。そんな仲間がいて、その仲間のために自分の体だってはれる。何ともうらやましい世界ではないだろうか。

そんな『TEENのため(for TEEN)』の応援歌でもあり、彼らの一挙手一投足が、そして思いが、なぜかTEENを過ぎてしまった僕たちにも暖かく、ときに苦味を持って伝わってくる。


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