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きらきらひかる[文庫]

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著者: 江國 香織

内容紹介: 私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである―。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人は全てを許し合って結婚した、筈だったのだが…。

セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは。傷つき傷つけられながらも、愛することを止められない全ての人々に贈る、純度100%の恋愛小説。(新潮文庫)

感想: アル中とホモ。社会の枠から疎外されるふたりを、結婚という形で作者は結びつけた。そして、それを繋ぐものが『愛』。すべてを分かり合って結婚したはずのふたりが、その社会の常識とやらに徐々に足を踏み入れられ、関係が危うくなっていく。純愛と言うには、扱われる素材が普通の枠を逸脱しているから、今ひとつピンと来ない。

あれこれと思うところはあるし、正直江國 香織の作品は好きではないから、『冷静と情熱のあいだ』も、本屋で手にしてやっぱ駄目だ合わないと買うのもやめた自分だけど、この作品にしても、作者がそういう設定にしているのだから、その路線で読んで感じていかなければならないだろうと思う。

社会と符合しないふたりが、そしてかつ一般的に見ればお互い符合しないふたりが、『愛』という絆で社会常識から押し付けられるさまざまなものを乗り越えていく。

その一見符合しないふたりが、『愛』を通して感じる喜びや幸せ、暖かさといったものを感じるとき、愛し合うふたりの空すなわちふたりの心が『きらきらひかる』のだろう。

夜に輝く星々は、言い換えれば、夜空は闇としてこれからどうなるかわからない現実を表し、そこに星として存在する笑子と睦月のそれぞれの生き方、それがときにきらめきを放ち、そしてまた、ふたりが『愛』で符合し合うときも光り輝く。

この本を最初に見たとき、『おこげ』も同時期に映画化されてたと記憶している。DINKSというセックスレス夫婦もマスコミに採り上げられた時代ではなかったか。そんな中で、このような夫婦が存在するのは、やはり普通のことなのかも知れない。そんな夫婦のひとつの姿を描いたまでのことだろう。

ただ、今改めて読み返しながら、『偽装結婚』を思った。言葉ほどに悪意はないけど、家を継がねばならないゲイは、やはり身を犠牲にして結婚をする。奥さんには、自分の性癖をひた隠す者もいれば、そうでない者も……いや、果たしてこの作品のように分かり合ってる夫婦はどのくらいいるのだろうか。

それを考えると、何も分かり合えていないゲイと結婚をした夫婦の姿とも、僕は重ねて見てしまうのだ。奥さんに内緒で外に恋人を持ちながら、家庭を切り盛りするゲイの夫。そんな夫婦にも、やれ子供を作れだの孫の顔が見たいだの、社会の一般常識的重圧が圧し掛かってくる。うまく女性ともセックスできるゲイならいいだろうが、はなから無理なゲイもいる。まったく、社会的動物であることが、煩わしくも感じられる。

だが、それはすべて外から押し付けられるものであって、一緒にいるふたりが、『愛』なり『友情』なりの深い絆で結びついていて、それで幸せにやっているなら、本来は何の問題もないのではないか。この作品は、そんなことも改めて教えてくれた。


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