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バタフライ・ラヴァーズ

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原題: 梁祝 The Lovers
A.K.A.: Butterfly Lovers
監督・脚本: Tsui Hark
脚本: Sa-Long Hui
出演: Charlie Yeung, Nicky Wu, Carrie Ng 他

内容紹介: 香港版『ロミオとジュリエット』として誰もが知っている悲恋話を、ツイ・ハークが縦横無尽の演出と映像感覚で描く情熱的なラブ・ストーリー!

祝英台は良家のひとり娘、性格はいたって明るく快活なのだが、良家の子女としてのたしなみである「読み書き」はまるでダメ。皇族とコネのある高級官吏にイントイを嫁がせようと画策する両親は、イントイに女人禁制の学校へ入学を命じる。男装に身をつつみ、山深い学校へと出発するイントイ。まもなくイントイは、梁山泊と知り合う。サンパクは学問で身を立てるべく、科挙試験にそなえて猛勉強を続ける苦学生。二人はやがて“男同士”の固い友情で結ばれていくが、イントイに縁談話が持ち上がる。イントイが学校を去る日、サンパクはイントイが女性であることを知る。もはや秘密のなくなった二人は永遠の愛を誓うのだった。しかし所詮許されない愛。二人は駆け落ちを決意するが…。

「バタフライ・ラヴァーズ」の原作は中国語圏では有名な民間伝承「梁山泊と祝英台」で、これはいわば中国版「ロミオとジュリエット」。この古典的悲恋物語をリメイクの達人ツイ・ハークが、アイドルスターの起用と縦横無尽な映像で再び蘇らせた。

イントイを演じるのは、チャーリー・ヤン。台湾生まれの香港育ち。モデルとしてデビューするが、アーロン・クォックと共演したTVコマーシャルで一躍人気アイドルに。ウォン・カーウァイの「楽園の瑕(東邪西毒)」(94)では剣士を待ち続ける薄幸な娘を、続く「天使の涙(堕落天使)では今をときめく金城武を相手に風変わりな失恋娘を好演した。「バタフライ・ラヴァーズ」では、サンパクへの秘めた恋心を友情という形でしか表すことのできない切なさを、けなげにしかもコミカルに演じきった。一方サンパクを演じたのはニッキー・ウー。生粋の台北っ子である彼は、アイドルグループ「小虎隊」のメンバーとしてデビュー。ツイ・ハークの「トワイライト・ランデブー 花月佳期」(95)では再びチャーリー・ヤンとコンビを組んでいる。

ツイ・ハークは1951年広東省生まれ。アメリカで映画を学んだ後77年に香港に戻りTVプロデューサーとしてスタート、79年「蝶変」で映画監督としてデビューする。暴力やカニバリズムをテーマにしたセンセーショナルな作品で香港ニューウェイブ派として評価される一方、その暴力描写をめぐって物議を呼ぶ。その後ガラリと作風を変えた彼は、84年に制作会社電影工作室(フィルム・ワークショップ)を設立し、監督・プロデューサーとして「上海ブルース」、「北京オペラブルース」、香港ノワールの火付け役的作品「男たちの挽歌」、金庸の武侠小説を元にした「スウォーズマン」シリーズ(90~)等、数々の作品を作り出している。5作品が映画化されている「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズ(91~)では清朝末期の武術家黄飛鴻を主人公に据え、彼を通して自身の中国近代史観を投影するという新たな試みも取り入れている。

香港のみならず、日本のコミックスにも興味を持つツイ・ハークは、そのアニメーション化へ向けてのアイディアも具体化しているらしい。次なるツイ・ハーク・ワールドにも期待が高まるところである。(ビームエンタテインメント)


感想: 『梁山泊と祝英台』をベースにしたこの作品を、何故『僕らの鑑賞会』で採り上げたかというと、『セルロイド・クローゼット』を見て、同性愛をカモフラージュした映画が多々あることを知り、この映画も敢えてそういう視点で見てみると、実にしっくりくることに気が付いたからだ。

祝英台(チュク・イントイ)は高級官僚の一人娘で、両親の言い付けに従い、花嫁としての嗜みを身に付けるべく大学に入学する。そこは女人禁制。イントイは、男装して入学する。そして、そこで貧乏学生の梁山泊(リャン・サンパク)と出会う。男同士の友情を育むことになるのだが、イントイが女性だと知らないままに、サンパクは恋心を抱き始めるのだった。脇役にモンチョンという明らかに男に興味のある男子生徒がいる。彼は、サンパクに好意を抱いているのだが、それが次第にイントイへと向けられていく。

イントイとサンパクの友情は、イントイを純粋な男ととるとまさに同性愛になる。イントイは高級官僚のひとり息子。だが、同性愛者だった。両親が、その性癖を何とか断ち切ろうとする。だが、サンパクに出会い、親にも規則にも背いて、ふたりは愛するようになる。こう見ていくと、古典的作品が、実は現代にも通じる男同士の愛を謳っていたという事実に驚愕してしまうのだ。あくまでも私の想像でしかないのだが。

ふたりの駆け落ちはばれ、サンパクはイントイの従者たちに重傷を負わされる。そして、イントイは部屋に閉じ込められたまま、ひたすら泣き叫びサンパクを想うのだった。しかし、サンパクの容態は悪化していく。思い出すのは、イントイと大学で過ごした日々のことばかり。

そこに、イントイの母親がサンパクを訪ね、縁を切るという手紙をサンパクに書かせる。しかし、サンパクは筆を執りながら吐血し倒れてしまう。イントイがその手紙を見たとき、サンパクはイントイを想いながら息を引き取る。

結婚式当日。悲しみに泣き続けたイントイの目からは血の涙が流れていた。イントイは、母親に哀願する。嫁いで行く途中に、サンパクの墓参りをしたいと。母親は承諾したが、父親は許さなかった。だが、行く途中に、サンパクの想いかふたりの愛の力がそうさせるのか、強風や稲妻が起こり、嫌でもサンパクの墓を通ることになるのだった。そして、サンパクの墓に辿り着くと、イントイは花嫁衣裳をすべて脱ぎ捨て、墓前にひざまづき、サンパクに永遠の愛を誓うのだった。

『たとえ運命に逆らっても、わたしはあなたのもの』

最後は、サンパクの墓が土に埋もれていき、そこにイントイの身も引き込まれていくのだが、ただひたすら愛のなせる業を見せつけられる。ときに愛は、人知の及ばぬことまでやってのけるのかも知れない。そして、ふたりの魂はつがいの蝶となって天に向かって飛び立っていく。

サンパクのセリフに次のようなものがある。

『規則を破らなければならないという選択もある』

この前半のほうに出てくるセリフひとつ取ってみても、同性愛者の胸のうちを言っているような気がしてならない。

愛はどこまでも貫くもの。たとえ運命に逆らっても、ふたりの間が確かなら、恐れるものは何もないのだ。それが、たとえ同性愛であったとしても。

また、この『梁山泊と祝英台』の話は、一瞬だが『17歳的天空』にも出てくる。そして、前回取り上げた『藍宇』でも、「『梁祝』の話は同性愛の原形だ」と藍宇が語るシーンがある。とても興味深い話だ。

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