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北京故事 藍宇

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著者: 北京同志
翻訳: 九月

内容紹介: 天安門事件で揺れる北京の街。禁断の愛に身を投じた二人の男。一大センセーションを巻き起こした問題作。

北京の若き実業家・陳悍東(チェン・ハントン)は、女も男もなく性に耽っていた。ある日、東北出身の貧乏学生・藍宇(ランユー)を金で買う。藍宇にとって、悍東は初めての性の相手だった。「俺たちが出会ったのは、縁があったから。その気がなくなった時点で、おしまいにする。同性愛は、この国ではわいせつ罪だから」運命の出会いは、こうして始まった。(講談社)

感想: こんなにも熱く切ない作品を見過ごしていたとは…私は、この作品を読みながら、別れてもう何年にもなる彼氏のことを思い出していた。

短い付き合いでしかなかったが、私は狂うほどに彼の肉体を貪り、彼の肉体なしでは生きられないとまで思っていた。セックスだけ?いや、失ってみて初めて、私は、彼の顔、おどけたところ、そして繊細なところや愛情表現が下手なところ…彼のすべてが好きだったことを思い知らされた。私は、彼を失って、子供のように泣いたのを覚えている。

運命の出会いなんて、そうそう訪れるものではない。しかし、誰にでも気付きさえすれば、それは必ずやってくるものなのだろうと思う。私は、彼にその運命を感じていた。いや、感じようとしていたのかも知れない。結局、別れたのだから。でも、その後も誰かを好きになって、付き合ったこともあったが、彼ほどには愛せなかった。きっと、これから先も、彼が私の心を去ることはないに違いない。この先何年生きていっても、密かに胸に抱き続けていく思い。自分の中で、自分だけに語りつがれていく思い。彼との恋愛は、私のまさしく『故事』なのだ。

そして、この作品を読みながら、私はこうも感じていた。ノンケを好きになると、こんな感じなのだろうかと。悍東は女も男とも寝るが、自分は正常な男で、いずれは結婚もする。そう自分に言い聞かせることで、彼は自分の同性愛志向を否定し続けてきた。だが、藍宇は違っていた。自分を認め、自分のすべてを悍東に捧げ尽くしたのだった。悍東は、一度藍宇を失って初めて、自分は同性愛者なのだと認める。そして、藍宇を永遠に失ったとき、彼は病室のベッドに横たわる藍宇にしがみつき、自分との関係をさらけ出して嗚咽するのだった。二人の短い(とは言っても、トータルでは7年以上)関係を暗示するかのように、二人は互いの肉体を余すところなく貪り合う。そのたびごとに、どんどんと愛の深みにはまっていく二人。決して離れられない、いや、離れたくない愛。

天安門事件(1989年6月4日、民主化要求を掲げる学生や労働者・市民に占拠された天安門広場を奪回するため、戒厳軍が出動して多数の死傷者を出した事件)を背景に、舞台となった1988年の北京は今はどう変化しているのだろう。日本でも、男同士の愛を取り巻く環境は、一歩外に出れば、さほど変わらないのではないかと思うのだが。

最後に、以前挙げた『17歳的天空』と比較するわけではないが、雰囲気も対照的に、最後は死を以って幕を閉じるという作品は、何もこの『藍宇』だけに限ったことではない。ゲイの作品に多いと感じるのは、私の誤解だろうか。実は、死を以って終わることが、同性愛=不幸という勝手な等式を作り出してしまっているのではと時々思うことがあるのだ。藍宇は言う。『男が好きなんじゃなく、捍東が好きなんだ』と。この言葉の中に、私は、勇気と自信とその問への答えがあると思えてならない。

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