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ビクター/ビクトリア

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原題: Victor Victoria
監督: Blake Edwards
脚本: Blake Edwards
出演: Julie Andrews, James Garner, Robert Preston, Lesly Ann Warren 他

内容紹介: ゲイの芸人トディはソプラノ歌手ビクトリアと手を組んで、ビクトリアをゲイの歌手ビクターとして売り出した。するとこれが大ブレイク!ところがビクターに恋したギャングのボスが、彼女の正体を見破って…!82年度アカデミー賞音楽賞受賞。二重三重のどんでん返しに抱腹絶倒のミュージカル・コメディ。(ワーナー・ホーム・ビデオ)

感想: オリジナルは1933年に遡り、舞台もパリではなくベルリンだったという話だ。『セルロイド・クローゼット』の中でも、採り上げられているが、ゲイをカモフラージュして描いている作品だ。

ジュリー・アンドリュース扮するソプラノ歌手ビクトリアは、オーディションに落ち、破産寸前。ホテル代も2週間滞納。食べるものもなく倒れる始末。だが、偶然部屋に出たゴキブリをバッグに入れ、金も持たずにレストランに食事に行く。そこで、ゲイのトディと出会う。トディは、スーツ姿のビクトリアを見て、女装をするゲイの歌手ビクターとして売り出す。

ここが当時の映画の規制によりややこしい設定になっている。率直にゲイの男が女装歌手として売り出す。それにギャングのボスが恋をする。となれば、わかりやすい。だが、当時としては、ストレートにゲイを描くことは許されず、それでも何とか苦心してカモフラージュしながらもゲイを描いたのだった。

ギャングのボスが言う。まだビクトリアが本当は女性であるということを知らないまま。『男でも構うもんか』…そうして、彼(彼女)に口付けをするのだ。当時のゲイの人たちは、さぞや喝采したに違いない。

ビクターがゲイの女装ではなく、本当はビクトリアという女性だと知ったギャングのボスは、彼女と暮らし始め、彼女にビクターであることをやめさせようとするが、ビクトリアは反対する。女でいるより男であるほうが自由でいられると。だが、ビクトリアガビクターのままでいることは、ボスにとっては自分も同じゲイに見られてしまうことを意味していた。彼は悩む。

2時間ちょっとの長めの映画だが、ストーリーが進めば進むほど爆笑するシーンが増え、あっという間だった。この人が実はゲイだったという話や、間抜けな私立探偵の行動、そして、最後に見せるビクターの代役をトディ自身が演じたステージなど、笑いが止まらなかった。

1933年の作品が当時の悲しい現実を抱えながらも、こうして1982年に甦った。当時を考えさせられるが、それを見事に笑いに変えている、そんな作品だ。


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