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Prayers for Bobby

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原作: Leroy Aarons
監督: Russell Mulcahy
脚本: Katie Ford
出演: Sigourney Weaver, Henry Czerny, Ryan Kelley, Austin Nichols, Dan Butler, Carly Schroeder, Shannon Eagen, Scott Bailey 他

内容紹介: グリフィス一家は、どこにでもある普通の家族だった。家族は敬虔なクリスチャンだった。特に、四人の子供の母親であるメアリー・グリフィスの信仰は篤かった。ところが、次男のボビーが同性愛者であることを知り、彼女の幸せな家庭が崩れ去る。神への信仰で息子の同性愛という病を治そうとするメアリー。それでも治らない息子。そして、そんな息子を責めるのだが、理解を得られないボビーは自殺してしまう。息子の死に苦しむ中で、彼女は真実を知っていくのだった。


感想: 実話に基づいたこの作品は、何度見ても泣かずにはいられない。そんなドラマを見るのも随分と久しぶりな気がする。


他の男の子と違うことに自殺を図ろうとまで思い悩んでいたボビーは、兄にそのことを打ち明ける。ところが、誰にも言わない約束だったのだが、心配のあまり兄は母メアリーにそのことを告げてしまう。

その日から、メアリーは息子の同性愛は悪い病気なのだと、だから神への信仰によって治せると信じ、息子とともにこの病に立ち向かおうとする。

だが、メアリーの信仰をよそに、何も変わらないボビー。メアリーは、努力が足りないと息子を責めるのだった。

そんな息子の唯一の理解者が、従姉妹のジャネットだった。ボビーは彼女の許を訪ね、そこでデヴィッドと恋に落ちる。

ボビーは、デヴィッドの家に招致される。両親に理解され愛されているデヴィッド。ボビーの心は更に沈んでいく。その苦しさから彼はデヴィッドの愛を求めたが、その思いは脆くも崩れ去る。甦るメアリーの言葉が彼の胸を突き刺す。

「どうしてわかってくれないの?」
「私にゲイの息子はいない!」
「それじゃ、僕は息子ではないんだ」
「そうね!」

どうしようもない悲しみの中、ボビーは高速道路の橋の上から身を投げるのだった。


息子の死を悲しむメアリー。なぜ? その思いが彼女を動かしていく。

そして、ゲイの子供を持つ親たちからなるコミュニティーに参加し、彼女は初めて自分が間違っていたことに気が付くのだった。

牧師に涙し語りかけるメアリー。

「ボビーが小さい頃からわかっていた。ボビーはどこか変わった子だったと。いくら祈ってもボビーは治らなかった。それは、本当はどこもおかしくなかったから」

自分の信仰が息子を死なせてしまった。メアリーは心の底から息子に謝り続けるのだった。

そして、彼女はゲイの市民運動に参加していく。

壇上、彼女は言う。

ゲイへの無知がそして恐怖が、息子を死なせる結果になってしまったのだと。

ゲイ・パレードに参加する彼女の目に、在りし日のボビーの姿が映った。


理解してほしい人に理解されない。他の人たちが理解を示してもダメなんだと、悲しく感じてしまった。

言ってみれば、心残りのまま逝ってしまったボビーの胸のうちはどんなものだったろう。

彼の人生の悲しい結末には、どうしても涙せざるを得ない。

だが、神はその後に救いを残しておいてくれた。

メアリーが亡き息子のために、そして同様の人たちのために運動に参加したことだ。

そんな母親の姿を見て、ボビーの心は安らぎを感じているだろうと信じたい。


この作品はアメリカの一チャンネルで放送されたまま、埋もれていくのだろうか?

洋書で原作も買えるが、日本での上映、それがダメならDVD発売を強く期待したい。

これは自分にとっても、またゲイを子供に持った親たちにも、ひとつのバイブルになるに違いない。




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