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非・バランス

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著者: 魚住 直子

内容紹介: 「クール」で通す。「友だち」はいらない。学校で生きのびるためには作戦が必要だ。

心に焼きつく危うい日々「非・バランス」が映画に! 忘れられない≪出会い≫ 心の底から求めないではいられない親友って……。

ティーンエイジャーのバイブルと各誌絶賛。

1995年度講談社児童文学新人賞受賞作。

小学生の時、ふとしたきっかけでいじめの対象になった「わたし」。中学2年になった今、心の闇に傷つきながらも過去から抜け出していく少女の、あたたかくてせつないひと夏の出会いが、鮮烈な勇気を心に刻み込む……。(講談社)


感想: 小学校でうけたいじめが心の傷となって、主人公の「わたし」はふたつの信条を必死に守りながら、中学生活を送っていく。クールに生きていくこと・友だちは作らないこと。だが、彼女の心は、その傷に侵されたまま闇の中でもがき続けているのだった。そんなある夜。ひとりの女性と出会い、彼女との心の交流が始まり、「わたし」の心も次第に癒されていくが、過去を断ち切ることは出来ずにいたのだった。そして、彼女もまた、「わたし」同様に心に傷を負う者だった。

いじめによる自殺が連日報道された時期があったが、この本を今また読み返しながら、この本を是非読んでほしいと思った。

いじめによる心の傷。加害者はそのことを忘れても、被害者はそれを忘れられない。しっかりと心に刻印されてしまっているからだ。そして、それが本人の無意識・時には抵抗をも押しのけて、当人の心を蝕んでいく。そして、「わたし」は闇の中でもがく。ここから抜け出したいのに。断ち切りたいのに。分厚い甲羅となって、その闇は、彼女の心を覆ってしまう。

そんなとき、彼女は学校で噂のあった願いを叶えてくれるという「ミドリのおばさん」を見かけて願い事を必死に口にする。彼女の口から出てきた言葉は「タスケテ」だった。そして、その人はミドリのおばさんでもなく、単なる女性だった。この出会いがきっかけで、ふたりの交流が始まった。それは、「わたし」にはいじめとは無縁の、必死に自分を保って生きているのとは違う空間・時間だった。「わたし」の心は次第に癒されていくき、やがて、過去を断ち切ろうという勇気を持つのだった。

立ち直る勇気を得た彼女は、小学校時代にいじめた子の家を訪ねて、「ヤメテー!」と大声で叫ぶんだよね。これが、読んでてもすごく気持ちいい。

そして、出会った女性も、実は心に傷を負っていて、彼女自身も「わたし」との出会いで癒されていく。そして、彼女も勇気をもらって、過去を断ち切ろうと決心する。

読みながら、ふと考えますね。いじめられた子供たち。いじめをなくすだけでは、彼らの心は元に戻っていないのではないかとね。彼ら自身が、そのいじめた子たちに立ち向かえるような何かが必要なのではないかとね。やられたまま、傷つけられたまま、終わってはいけないのではないだろうか。報復を言っているんじゃない。彼ら自身が、これで終わりと納得して思える何かが必要だと思うんだよね。

原作では、ただの女性になっていて、どこにもオカマだのは出てこない。でも、これが映画化されたとき(2001年)、小日向文世演じるオカマ(しかも、オカマ・バーのママ菊ちゃんとして)がとても印象的で、当時もマスコミに採り上げられたのを覚えている。なぜ、オカマにしたのかは知らないけど、映画では、そのオカマとの交流で「わたし」が立ち直って自分の足で歩き始めるという仕上がりになっている。

原作も児童を対象にしたものだから、とても読みやすいし、スーッと入ってくる。でも、オカマとして女性を登場させた映画も捨てがたい。小日向文世の演技も見もので、本当にこんな人が蕎麦にいてくれたらと思うと心強くなる。

「ウォーター・ボーイズ」にしても、なぜかオカマの存在は人々に勇気を与えてくれるようになっている。世の中からはみ出ている彼らが、はみ出しそうな者たちを、元に戻してくれたりするのだ。

中高生に是非読んでもらいたい、観てもらいたい。


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